配電工事や電気工事の現場において、高所作業車は欠かせない重要な設備です。電柱の上部での作業、電線の架設、樹木の伐採など、地上からは手が届かない高所での作業を安全かつ効率的に行うために、適切な高所作業車の選定と運用が求められます。
しかし、「どのような種類の高所作業車があるのか」「作業内容によってどう使い分ければいいのか」「自社保有と外部委託ではどちらが良いのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、三重県志摩市で配電工事を手がける株式会社南電設の実例をもとに、高所作業車の種類、作業高さ別の特徴、配電工事における使い分けのポイント、そして車両保有のメリットまで、現場で役立つ情報を徹底解説します。
高所作業車とは?配電工事における重要性

高所作業車とは、作業床を高所まで上昇させ、作業員が安全に高所作業を行えるようにする特殊車両です。電気工事業界では、電柱での作業や電線の保守点検、配電線周辺の樹木伐採など、様々な場面で活躍しています。
なぜ高所作業車が必要なのか
配電工事では、電柱の高さは一般的に10メートルから15メートルほどあります。この高さでの作業を梯子や足場だけで行うことは、安全面でも効率面でも現実的ではありません。高所作業車を使用することで、作業員は安定した作業床の上で両手を使って作業でき、工具や資材も手元に置いておけます。
また、電線工事や変圧器の設置といった精密な作業では、安定した作業環境が不可欠です。高所作業車は単なる移動手段ではなく、高所での「作業場」を提供する重要な設備なのです。
配電線工事における樹木伐採での活躍
配電線の周辺に木の枝が伸びると、電線に接触して停電や火災の原因となる危険性があります。そのため、定期的な樹木伐採は配電工事において重要な業務です。
高所作業車を使用することで、電線の周囲の木々を安全かつ効率的に整えることができます。作業員は作業床から木の枝に手が届き、チェーンソーなどの工具を使って適切に剪定や伐採を行えます。周囲の景観や自然環境にも配慮しながら、必要最小限の範囲で作業を進められるのも、高所作業車ならではの利点です。
高所作業車の使用により、作業員の墜落リスクが大幅に軽減されます。作業床には手すりが設置されており、安全帯を装着することでさらに安全性が高まります。また、悪天候時には作業を中止する判断もしやすく、安全管理の面で大きなメリットがあります。
高所作業車の種類と作業高さ別の特徴
高所作業車には様々な種類がありますが、配電工事では主に作業高さによって使い分けられています。ここでは、実際に配電工事の現場で使用される代表的な高所作業車について解説します。
15m級高所作業車の特徴と用途
作業高さ15メートルの高所作業車は、配電工事において最も活躍する車両の一つです。一般的な電柱の高さに十分対応でき、電柱の頂部での作業や高所の樹木伐採など、幅広い作業に使用できます。
この高さがあれば、電線の架設や変圧器の設置といった配電工事の主要な作業のほとんどをカバーできます。特に、電線に接触する可能性のある高木の伐採では、15メートルの作業高さが必要となる場面が多くあります。
株式会社南電設では、この15メートル級の高所作業車を3台保有しており、複数の現場で同時に作業を進める体制を整えています。
10.5m級高所作業車の特徴と用途
作業高さ10.5メートルの高所作業車は、中型の電柱での作業や、比較的低い位置での電線点検・保守作業に適しています。15メートル級よりもコンパクトで取り回しがしやすく、狭い路地や住宅街での作業にも対応できます。
一般的な配電線の高さは地上から5メートルから10メートル程度のため、日常的な点検やメンテナンス作業では10.5メートルの作業高さで十分なケースが多くあります。車両のサイズも15メートル級より小さいため、現場への進入がしやすいというメリットもあります。
トラック(作業車)と軽トラックの役割
高所作業車以外にも、配電工事には様々な車両が必要です。2トントラックは、資材や工具の運搬、作業員の移動に使用されます。配電工事では、電線、変圧器、工具類など、多くの資材を現場に運ぶ必要があるため、十分な積載能力を持つトラックが欠かせません。
軽トラックは、狭い現場への資材運搬や、小規模な工事での機動力を発揮します。志摩市のように狭い路地や急な坂道が多い地域では、小回りの利く軽トラックが活躍する場面が多くあります。
配電工事における高所作業車の使い分けポイント
適切な高所作業車を選定することは、作業の効率と安全性を大きく左右します。ここでは、実際の配電工事現場での使い分けのポイントを解説します。
作業内容による選定基準
電線工事や変圧器の設置といった電柱頂部での作業には、15メートル級の高所作業車が必要です。作業高さに余裕があることで、作業員が無理な姿勢を取ることなく、安全かつ確実に作業を進められます。
一方、電線の日常点検や軽微な補修作業であれば、10.5メートル級で十分対応できます。必要以上に大きな車両を使用すると、燃料費や運搬コストが増加するため、作業内容に応じた適切な選定が重要です。
現場環境による選定基準
現場の地理的条件も、高所作業車の選定において重要な要素です。広い道路に面した現場であれば15メートル級の大型車両でも問題ありませんが、狭い路地や住宅密集地では10.5メートル級の方が取り回しがしやすく効率的です。
特に志摩市のようなリアス式海岸の地域では、狭い路地や急な坂道が多く存在します。現場へのアクセスルートを事前に確認し、その道路状況に応じた車両を選定することが、スムーズな作業進行につながります。
複数現場の同時対応
配電工事会社が複数台の高所作業車を保有していることには、大きな利点があります。複数の現場で同時に作業を進められるため、工期の短縮や緊急時の迅速な対応が可能になります。
例えば、株式会社南電設では15メートル級を3台、10.5メートル級を1台保有しており、異なる現場で並行して作業を進める体制を整えています。これにより、天候や現場の都合に柔軟に対応でき、効率的な作業スケジュールを組むことができます。
作業車両の選定では、「作業高さ」「現場のアクセス性」「作業内容」の3つの要素を総合的に判断することが重要です。大は小を兼ねるという考え方もありますが、必要以上に大きな車両を使用すると、かえって作業効率が低下する場合もあります。現場に最適な車両を選定する判断力が、熟練の技術者に求められるスキルの一つです。
自社で車両を保有するメリット
配電工事会社が専用車両を自社で保有することには、多くのメリットがあります。外部からのレンタルと比較した場合の利点について解説します。
スケジュール調整の柔軟性
自社保有の車両であれば、必要な時にすぐに使用できます。レンタル車両の場合、繁忙期には希望する日時に借りられないことや、予約が取りにくいといった問題が発生します。
自社車両なら、急な天候変化による作業日程の変更や、緊急対応が必要な現場への出動など、柔軟なスケジュール調整が可能です。これは、地域のインフラを守る配電工事会社にとって、非常に重要な要素です。
作業員の操作習熟度向上
同じ車両を日常的に使用することで、作業員は車両の操作に習熟し、より安全で効率的な作業が可能になります。車両ごとに操作方法や特性が微妙に異なるため、使い慣れた車両で作業することは、安全性の向上につながります。
また、車両の癖や特徴を熟知していることで、狭い場所での操作や微妙な位置調整なども、スムーズに行えるようになります。
計画的なメンテナンスと車両管理
自社車両であれば、定期的な点検やメンテナンスを計画的に実施できます。車両の状態を常に把握しているため、現場での突発的なトラブルのリスクも軽減できます。
また、作業に必要な工具や資材を常に車両に積んでおくことができるため、現場での準備時間を短縮できます。これも作業効率を高める重要な要素です。
緊急時の即座対応
台風や災害などで配電設備に被害が出た場合、迅速な復旧作業が求められます。自社に高所作業車があれば、連絡を受けてすぐに現場に向かうことができます。
地域のインフラを守る役割を担う配電工事会社にとって、緊急時の対応力は信頼性の証です。自社で車両を保有していることで、地域住民の安心・安全を守ることができます。
高所作業車の安全管理と運用のポイント
高所作業車は便利な設備ですが、適切な管理と運用がなければ、重大な事故につながる危険性があります。ここでは、安全管理のポイントについて解説します。
作業前の安全確認
高所作業車を使用する前には、必ず安全確認を行います。車両の点検、作業床の状態確認、安全装置の作動確認など、複数の項目をチェックリストに従って確認します。
また、作業現場の地盤状態、架空線の位置、周囲の障害物なども事前に確認し、安全に作業できる環境を整えることが重要です。
有資格者による操作
高所作業車の操作には、特別教育や技能講習の修了が必要です。作業床の高さが10メートル以上の車両を操作する場合は、高所作業車運転技能講習の修了が法律で義務付けられています。
有資格者が適切に操作することで、安全な作業環境が確保されます。また、定期的な安全教育や技能研修を実施することも、事故防止には欠かせません。
天候条件の判断
強風や雨天時の高所作業は、非常に危険です。作業を実施するかどうかの判断は、天候条件を慎重に見極めて行います。一般的に、風速10メートル毎秒を超える場合は作業を中止するべきとされています。
安全を最優先し、無理な作業は行わないという判断も、プロの電気工事士に求められる重要な資質です。
高所作業では、どんなに急いでいても安全確認を省略してはいけません。作業床での安全帯の装着、周囲の安全確認、車両の安定確保など、基本的な安全対策を確実に実施することが、事故を防ぎ、長期的に効率的な作業を実現する基本となります。
志摩市の特殊環境における車両運用
三重県志摩市は、配電工事において独特の環境条件を持つ地域です。地域特性に応じた車両運用について解説します。
狭い路地や急坂での対応
志摩市には、高所作業車が入れない狭い路地や急な坂道が多く存在します。このような現場では、より小型の10.5メートル級の作業車や、場合によっては別の工法を組み合わせることで対応します。
地域の地理を熟知していることが、適切な車両選定と効率的な作業につながります。軽トラックを活用した資材の小分け運搬なども、狭い現場では有効な手段です。
島嶼部への対応
志摩市には船でしか行けない島も存在します。このような場合、車両をフェリーで運搬する必要があり、事前の綿密な計画が求められます。
小型の車両であればフェリーでの運搬もしやすく、島嶼部の配電工事では機動性の高い車両が活躍します。このような特殊な環境への対応経験が、地域密着型の電気工事会社の強みとなっています。
海岸部での塩害対策
海に近い地域では、車両も塩害の影響を受けます。定期的な洗浄とメンテナンスを行うことで、車両の寿命を延ばし、常に良好な状態を保つことができます。
特に、電装部品や油圧系統は塩害の影響を受けやすいため、重点的な点検が必要です。海岸部での作業が多い地域では、このような地域特性に応じた車両管理が重要です。
まとめ:適切な車両選定が安全で効率的な配電工事を実現
高所作業車は、配電工事において欠かせない重要な設備です。15メートル級と10.5メートル級の作業車、それぞれに適した用途があり、作業内容や現場環境に応じて適切に使い分けることが、安全で効率的な作業を実現します。
自社で車両を保有することで、スケジュール調整の柔軟性、作業員の操作習熟度向上、緊急時の迅速な対応など、多くのメリットが得られます。また、トラックや軽トラックを組み合わせることで、資材運搬から高所作業まで、一貫した対応が可能になります。
株式会社南電設では、15メートル級の高所作業車3台、10.5メートル級1台、2トントラック2台、軽トラック2台を自社保有しており、志摩市の特殊な地理環境にも柔軟に対応できる体制を整えています。狭い路地や急坂、船でしか行けない島など、様々な現場での配電工事の経験が、確かな技術力と対応力を生み出しています。
配電工事は地域のインフラを支える重要な仕事です。適切な車両設備と熟練の技術者、そして徹底した安全管理があってこそ、安定した電力供給が実現されます。三重県志摩市および周辺地域で配電工事をお考えの方、または電気工事士として地域のインフラを支える仕事に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。



